頭寒足熱とは?東洋由来や医学的根拠とされる誤解と勘違いの歴史を徹底調査した

カラダ

こんにちは。ギボンヌです。

最近、頭寒足熱[ズカンソクネツ]という言葉にすごく違和感を感じています。

「頭寒足熱にしましょう」

って、なんだかおかしいなと思うんですよね。

言葉にというよりは、それを使っている人が分かって使っているのか?というような違和感です。

ここ5年、私が冬でも素足で過ごすようになって、「頭寒足熱」という言葉を発信する人たちの言わんとすることと、自分のカラダで体感しているものとのズレを感じるからです。

素足になる以前、私は「頭寒足熱」という言葉を一般的な理解をしたうえで、6年くらい冷えとり健康法を実践していました。

そのあいだは半身浴や靴下の重ねばきなど下半身を温め上半身は薄着にするということをやってきました。

どちらも自分のカラダで体感している私です。

そんな私は「頭寒足熱」というものの由来や歴史についての疑問を明らかにするために調査してみることにしました。

頭寒足熱とは?東洋由来や医学的根拠とされるのは本当なのか

「頭寒足熱は東洋医学で言われています。」

という常套句はあたかもそれが「当然」であり「一般常識」かのようにあちらこちらで書いていたり聞かれるものです。

まず、「頭寒足熱」が東洋医学と言われるのは本当なのでしょうか?

医学的根拠があるかのように言われるのはどういう検証がされてきたからなのでしょう?

私は「頭寒足熱」という言葉の違和感は冷えとり健康法を実践している間には感じていませんでした。

医療の専門家も「頭寒足熱」をすすめていますし、それは「東洋医学に基づいている」ともいう人もいましたし、陰陽五行説(中国由来)に基づいているという人もいます。

「頭寒足熱は日本人の体に合っている」と書いている人もいます。

しかしながら、東洋医学は掴み所がないですね。

掴みどころがないのに、もっともらしい説明があります。

わかりにくくしているせいで、当時の私は「そうか」と信じてしまった上で、自分のカラダで実践して確かめてみるしかありませんでした。

しかし、そうであると信じた上で、その仮説に向かってゆく検証はとても誠実とはおもえないものです。

頭寒足熱について一般的に言われているのはこのような感じでしょう。

上半身は冷やし

下半身は温める

「頭は冷やし、足は温める」と言う感じに意図的に行うというものです。

現代は昔とは気候が変わったり、エアコンなどの冷房の強さもあり、カラダの熱を意図的に調整すると過ごしやすいし、カラダが整いやすい、という考えであると理解しています。

けれども、素足で過ごすようになってから、そもそもカラダの「冷え」「寒いと感じる」ことは別のことだと気付きました。

そして、意図的なことは一度横に置いて、カラダが求めることをしようとしてみました。

カラダが求めることをしようとすると(素足で過ごしていて)、冬にムートンブーツを履こうと思うこともなかったですし、レッグウォーマーをしようと思ったこともありませんでした。

寝るときに靴下を重ねたいとか、足元に湯たんぽを入れたいと思うこともありませんでした。

意外なことに冬にはニット帽やネックウォーマーなどで首や頭や口や鼻を覆うようになりました。(足は素足にベアフット系のシューズでした)

足は薄いベアフット系のシューズやマンサンダルなどで素足ですが、頭や首周りを覆うとそれ以外が薄着でも案外平気なのです。

夏は素足に短パンに長袖のボーダーシャツだったりしました。

つまり、私は「頭寒足熱」とは逆のことをしています。

それでもカラダが「冷え」ているか?といえば、そんなことはなく、冷えとり健康法をして、意図的に「頭寒足熱」を心がけていたときより芯から温かいのです。

真冬の寒空に素足なのに、です。

私は冷えとり健康法をしていたので、足を温めたほうがいいという感覚ももっているので、この体感は不思議に感じています。

これは冬に素足で過ごしている人にしか分からない体感なのかもしれません。

「寒いと感じる」「暑いと感じる」というのはセンサーなので、意図的にこれを操作しすぎると、自律神経が正確に反応できないのではないかと感じています。

昔の日本の庶民が冬に足袋を履けるようになったのはそんなに古い時代じゃないです。

江戸時代はまだ素足で、明治時代は各家で足袋を手縫いしていたといいます。

引用:和楽「えっ、真冬も裸足!?浮世絵美女の「雪の日コーデ」は、こんなにもおしゃれ!」よりhttps://intojapanwaraku.com/rock/art-rock/142475/歌川広重「江戸名所四季の眺 隅田川雪中の図」より 国立国会図書館デジタルコレクション 

日本人は素足の時代が長いのです。

そもそも、足袋一枚なんて履いたところで真冬にはそんなに温かいものではありません。

古来からの歴史に習うのであれば、なんらかの意味の取り違えがあったのでは?と違和感を感じざるをえません。

頭寒足熱とは?東洋由来や医学的根拠とされる誤解と勘違いの歴史

「頭寒足熱」というのはそもそもどこから来たのでしょう?

「東洋医学である」

「陰陽五行である」

「昔から言われているから間違いない」

「日本人の体にあっている」

というけれど、何が根拠なんでしょう?

これを勧めるのであればその由来を知っておく必要がありますよね。

先に言っておくと、私が調べた中にはコレが由来であるという確実なものはありませんでした。

いくつかの説があるのでまとめてみましょう。

頭寒足熱の由来 説① 長寿のトーマス・パー

15世紀ごろに152歳まで生きたといわれるトーマス・パー(オールド・パー)(Thomas Parr, 1483年-1635年)というイングランド人が長寿の秘訣を尋ねられてこう答えています。

〝Keep your head cool by temperance and your feet warm by exercise.〟

「頭は冷たく保ち、足は運動して温めなさい」

と答えたことが日本で言われている「頭寒足熱」の由来ではないか?と言われています。

引用:Wikipedia https://ja.m.wikipedia.org/wiki/トーマス・パー

でも、この言葉を読むと現在日本で言われている「頭寒足熱」の意味とは違うようですね。

なにがって?

「足は運動して温める」

と言っています。

頭寒足熱の日本での一般的な意味は、「ただ下半身を温める」ことのように受け取られているように感じます。

運動で温めるというのでは随分と意味が変わってきます。

このトーマス・パーという人は80歳で初めて結婚をしています。

105歳の時には不倫をして不義の子を作っています。

妻を亡くし、122歳で再婚してまた子供を作っています。

すごい元気です。

トーマス・パーはなんと130歳まで農作業をしていたのだそうです。

やはり、すごい元気。

足は(全身ですが…)農作業という全身運動で温まっていたでしょう。

そして、トーマス・パーは菜食主義であり、節度ある食生活が大切だと考えていたようです。

このあたりは冷えとり健康法ともかさなる部分です。

152歳のときにイングランドのチャールズ1世に招かれ、豪華な食事を振舞われ、贅沢放題に過ごしました。

その暴飲暴食がたたってか、152歳でこの世を去ることになりました。

このトーマス・パーの残した言葉は違う意味でも取ることができます。

英語の慣用句の表現としては

〝Keep  your head〟とは「冷静でいる」

〝Keep feet warm〟とは「足を使って行動する」

という意味で使われるといいます。

これは「頭は冷静に保ち、行動を重ねなさい」と言っているとも取れます。

晩年は冷静さを失ったのでしょうか。

農作業もしなくなり、贅沢三昧したのですね。

その年にこの世を去ることになりました。

トーマス・パーの言葉は

「思い込みをしないで、体で体験しなさい」

と言っているようにも聞こえますがどうでしょう?

人の寿命や、年齢も思い込まなくていいのかもしれません。

頭寒足熱の由来 説②イギリスのことわざ

頭寒足熱の由来の一説として、17世紀のイングランドの詩人ジョージ・ハーバート(George Herbert)(1593-1633)によって「Jacula Prudentum(ヤクラ・プルデントゥム)」ということわざ集に記された言葉があります。

A cool mouth and warm feet live long.

口を涼しく足を暖かくすれば長生きする

このジョージ・ハーバートの言葉も頭寒足熱の由来の可能性があると言われています。

引用:Wikipedia https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ジョージ・ハーバート

ですが、頭寒足熱と似ていますが。

こちらは「頭」ではなく「口」なんですね。 

けれども17世紀のイングランドにもなんとなく「頭寒足熱」に似たことを言っている人いたのですね。

しかし、このジョージ・ハーバートさんは長生きどころか、40歳までしか生きていません

生きている社会的背景を考えると、生命の寿命としてというよりは、17世紀のイングランドという社会で生き抜くことについて書いていたのではないかと感じます。

その頃のイングランドといえば…邪魔者は処刑、怪しいものは処刑。

王室での処刑も多く、魔女狩りも盛んでした。

国教会とカトリック、清教徒と宗教間の衝突もあり、きな臭い時代。

現代の日本のように普通に生きられる時代にその言葉をそのまま受け取るのは違和感があります。

ジョージ・ハーバートはイギリス国王であるジェームズ1世に気に入られていたといいます。

このジェームズ1世は男色だったといいますから…どう気に入られたのでしょうね。

ジョージ・ハーバートの言葉は頭寒足熱というよりは、どんな時代にも生き抜くための知恵のように感じますね。

頭寒足熱の由来 説③ブールハーフェ 

頭寒足熱の由来として最も有力な一説として、18世紀のオランダの医学者であるヘルマン・ブールハーフェ(Herman Boerhaave)が1738年に死んだとき「医学の秘法」として残した、言葉があります。

引用:Wikipedia https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ヘルマン・ブールハーフェ

ブールハーフェはその書物に封をして仰々しく残していたようです。

その書物の頭に記されていたのは

〝Keep your head cool by temperance and your feet warm by exercise,the bowels free〟

「頭を冷やし、足は暖かく、腸は空に」

とあり、あとは白紙だったそうです。

意味深ですね。

本当は死ぬ前にもっとわかりやすく書きたかったのかもしれませんね。

それでも、それ以外白紙だったことも、この一節が重要であるように醸し出してしまっていますよね。

この言葉は前述したイギリスの長寿のトーマス・パーの言葉をブールハーフェがオランダ語に直訳し誤訳たものであるという説があります。

ブールハーフェは、日本の蘭学にも影響を与えた人物であるようです。

オランダと国交があった当時の日本人は蘭学として学び、その誤訳をまた日本語に直訳したのではないかと言われています。

蘭学者が日本語を当て字に直訳して「頭寒足熱」という言葉が生まれたのではないかと考えられています。

なんだか伝言ゲームのようですね。

頭寒足熱とは?東洋医学由来なのか

ここまでいろんな説をまとめてみました。

意外にも東洋医学由来というものは見当たりませんでした。

ブールハーフェは東洋医学というよりは西洋医学といっていいでしょう。

探求すると真理に近づくものですから、もはや西洋医学や東洋医学と分けることもナンセンスなのかもしれません。

ですが、「頭寒足熱」が東洋医学として古くから語り継がれているものであるとするには、根拠をみつけることができませんでした。

なぜ東洋医学だと思われているのでしょうか?

四字熟語が中国の成語のように感じられるからでしょうか?

頭寒足熱は日本でできた言葉なので中国の成語ではないのですが、中国の雰囲気があるから東洋医学由来と信じられているのかもしれません。

頭寒足熱とは?医学的根拠はあるのか

とはいえ、勉強をするときなどに頭は温めすぎないほうが眠くらならずに集中できるという事は体験している人が多いですよね。

だから、意図的に頭寒足熱にすることがカラダに良いことと感じているのではないかと私は推測しています。

しかしながら、頭寒足熱という4文字「頭は冷たく、足は暖かく」

という意味としては大雑把すぎてよくわかりませんよね。

2005年に行われた実験があります。

180人の人をランダムに2つのグループに分け、

《グループ①》

1回だけバケツに入った10℃の10リットルの水に20分足をつける。

《グループ②》

靴と靴下を履いたままで空のバケツに20分足をつける。

その結果4、5日後に風邪をひいたと申告する人が《グループ①》では14.4%、かっこ《グループ②》では5.6%という結果だった。

これはバケツで20分間足を水で冷やすと風邪をひく人が増えたという結果であり、足を温めることでの結果ではないため、頭寒足熱についてなにも結論づけることはできません。

私は子供のときに仮病を使いたくて風邪を引こうとして、真冬に水浴びをしたことがあります。

足も冷水をかけて冷やしました。

結果…全身ポカポカになってしまいました。

多くの人がいろんなことに「医学的根拠は?」とか「エビデンスは?」などというのにもかかわらず、なぜここまで根拠や由来のわからない言葉を事実に目を塞いで盲信しているのでしょう?

頭寒足熱とは?東洋由来や医学的根拠とされる誤解と勘違いの歴史を斬る

頭寒足熱の由来として有力なのは、イギリスの長寿トーマス・パーの長生きの秘訣について残した言葉をブールハーフェがオランダ語に翻訳する際に直訳したために誤訳になってしまったというものです。

そして当時、日本は唯一オランダと国交があり、蘭学を学んでいた日本人がさらに直訳しさらに誤訳となってしまったのではないか、と私は推測します。

「頭寒足熱」はたった4文字でキャッチーに人々の心をつかんだのではないかと感じます。

外国からの西洋文化が入るまでの日本はわらじ下駄などで、一般人が足袋を履くようになるのはそんなに昔からではありまけん。

足袋一枚で真冬の寒さが凌げるとは考えられません。

現在の冷えとりソックスの重ねばきのようなものは存在しておらず、毎日湯船につかることができるようになったのは昭和にはいってからと思われます。

それなのに、なぜ頭寒足熱は日本人に合っていると言えるのか不思議でなりません。

日本人は明治維新以降、六尺ふんどしははしたないとされ、越中ふんどしパンツをはかされたと同時に、をはかなければ世界から取り残されると、日本本来の文化を捨てるようにされてきたのではないか?とさえ感じます。

なぜなら、私は今靴を脱ぎ、靴下を脱ぎ、素足になって、カラダで感じているからです。

裸足になると足が冷える

ということではないのです。

お風呂で温め靴下で保温すれば足が温かくなるということでもないのです。

私は冷えとり靴下を7枚も重ねていたものを脱ぎ捨て、素足や裸足になったことで、カラダが本来の動きを取り戻し、自家発熱できる状態を取り戻しました。

これを感じるには、靴と靴下を脱いで素足や裸足になってみることです。

湯たんぽを入れると温まるどころか冷えるという体験を、冷静になって感じてみると良いでしょう。

温めると冷えようとするのです。

人間には、否、自然には恒常性があるのです。

「頭を冷やし、足を温める」

のではなく、

足は素足や裸足になれば運動の質が変わり、めぐりがよくなり、温まっている状態になるのです。

寒さを感じることでカラダは温まろうとするのです。

カラダを動かせば、頭は無駄に考えず冷静でいられます。

「昔から言われていることは正しい」

と思考停止してはいけません。

鵜呑みにせずに、冷静に歴史に目を向け、カラダで試し、事実起こることを感じてみる必要があると感じます。

おわりに

今回は、「頭寒足熱」が東洋医学由来や医学的根拠私があるとされる理由について歴史を調査しまとめました。

真冬に素足や裸足で過ごしていて体感しているものと、「頭寒足熱」という言葉が重ならず、これは調べる必要があると思い調査したものです。

結果としては、なぜここまで頭寒足熱という言葉を盲信するのか?は明確なことはわかりませんでした。

けれども、ここまで明確な由来がわからないことが盲信され続けていることを知ると、

トーマス・パーの「頭は冷静に保ち、行動を重ねなさい」という言葉と

ブールハーフェの「頭を冷やし、足は暖かく、腸は空に」の言葉は

真理を表しているなと感じざるをえません。

冷静な頭で行動し自分のカラダで感じるその事象を確認していきたいものです。

最後までお読みくださりありがとうございます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました